2019年の「M-1グランプリ」は、ミルクボーイが優勝しましたね。「M-1グランプリ」と言えば、若手漫才師のコンクールであり、ここで優勝すると1000万円を手に出来るのはもちろん、今まで以上の注目度となります。
この「M-1グランプリ」で、わたしが印象深いのはサンドイッチマンが優勝した2007年。敗者復活からの感動の優勝を遂げたのですが、なんと決勝の舞台でネタが飛んでいたんだとか…。どんな状況だったのか見ていきたいと思います。
審査員だった島田紳助さんと松本人志さんが決勝でどんな評価をしたのか?みていきたいと思います。
「M-1グランプリ」について!
「M-1グランプリ」とは?
『M-1グランプリ』は、2001年に島田紳助さんが企画し吉本興業と朝日放送が主催する若手漫才師による漫才のコンクールで、2010年にいったん終了しています。
その後、フジテレビ系列で後継プリジェクトとして「日清食品 THE MANZAI」が4回開催されるなど紆余曲折がありながら、2015年に『M-1グランプリ』として復活しています。

出典:https://tapittalk.com/sandwichman/
歴代優勝者は?
歴代の優勝者は、今では漫才だけでなくタレントなどで活躍している人たちが多くいます。過去の優勝者を見てみると・・
- 2001年 中川家
- 2002年 ますだおかだ
- 2003年 フットボールアワー
- 2004年 アンタッチャブル
- 2005年 ブラックマヨネーズ
- 2006年 チュートリアル
- 2007年 サンドイッチマン
- 2008年 ノンスタイル
- 2009年 パンクブーブー
- 2010年 笑い飯
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- 2015年 トレンディエンジェル
- 2016年 銀シャリ
- 2017年 とろサーモン
- 2018年 霜降り明星
- 2019年 ミルクボーイ
サンドイッチマン 敗者復活からの逆転優勝!?
サンドイッチマン 2007年準決勝敗退
2007年のこの年は、プロよりも素人コンビが急増したそうです。前の年に素人で初めて決勝進出した「変ホ長調」の影響からだったようです。なのでエントリーは4239組もいたそうです。
サンドイッチマンは前年準優勝のため2回戦からの出場。2回戦3回戦共に順調に勝って準決勝へ。準決勝の舞台は、『ルミネtheよしもと』。吉本の芸人でないサンドイッチマンにとってはまるっきりアウェーの劇場なんだそうです。
つくりあげたネタを披露し、笑いも起きたし、手ごたえも悪くなかったようですが、決勝進出者8組にサンドイッチマンの名前はありませんでした。

出典:https://www.youtube.com/watch?v=997-8NB65Us
この時の心境を、サンドイッチマンの富澤たけしさんは・・
このときの悔しさは、ネタを認めてもらえなかった、という気持ちだったのか。吉本という大きくて見えない壁を突破できなかった悔しさだったのか。
出典:ttps://www.gentosha.jp/article/14487/
と語っています。
いずれにしても、この時点でサンドイッチマンとしては“敗者復活戦”しかなくなったわけです。
敗者復活!
2007年12月23日「敗者復活戦」。サンドイッチマンの伊達さんは、同じ準決勝進出コンビのU字工事・卓郎さんと浜松町からタクシーで会場の大井競馬場までお金を気にしながら行ったそうです。
大井競馬場に中継のカメラが来たとき、57組は全コンビ、舞台上に上がり、富澤さんは人波の一番後ろの列の、そのさらに左端に立っていたそうです。
決勝会場のMCは今田耕司さん。決勝会場の今田さんに、敗者復活コンビが知らされ、今田さんは一瞬、「ハッ」と驚いたような顔。
そして、「4201番、サンドウィッチマン~~~!!」
「お客さんがみんな「おめでとう!」「頑張って!!」と言ってくれるのが嬉しかった」と富澤さん。
決勝会場の今田さんからコメントを求められ、伊達さんは「かき回してきます!」と答えていました。
大井競馬場からテレビ朝日の決勝戦会場へ
なにせ『M-1グランプリ』は生放送。大井競馬場から馬運車で運ばれていたらしいです。が、途中で渋滞に巻き込まれバイクに乗り換えさせられてテレビ朝日へ到着。
決勝はすでに始まっていて7組目が始まる寸前。玄関前で木村祐一さんからインタビュー。しかし、あたふたしてしどろもどろ状態…。
そしてやっとのことで着いたたまり場には、ファイナリストのコンビたちが、ずらりと勢ぞろい。
おそろしい空気だった。“緊張感”が、手で触れることができそうなほど、みなぎっている。
・・・
あれだけ人がいるのに、テーブル上の灰皿のタバコのケムリがまったく揺れてなかった︒空気が、濃密に凝縮されているのだ。
・・・
そこはまさしく、M – 1の本当の「地獄」=決勝の舞台だった。
出典:https://www.gentosha.jp/article/14489/
この富澤さんの表現が素晴らしく、伝わってくるものがありました。
そのたまり場では、吉本以外の芸人ザブングルの2人だけが、「よう来ましたね!」って、握手して歓迎してくれたそうです。
その時の様子を富澤さんは、「誰だ、おたくら?」という視線を受け、「あいつら、どこの事務所や!」と舞台裏では大騒ぎになっていたらしいと後で聞いたそうです。
決勝戦!1本目!!
サンドイッチマンの決勝戦1本目のネタは「街頭アンケート」。「このふたり誰?」という空気のままネタがスタートします。富澤さんの「名前だけでも覚えて帰ってください」で、若干の笑いが起きます。

出典:http://geininsokuhou.blog.jp/archives/55126701.html
「あの~、ダイエット中すみません」「してねぇよ」で笑いが起きます。さらに、このアンケートどこで知りましたか?」「お前だよ!」で笑いが起きます。これでつかんだ感じはありました。
やっていて伊達さんも、「ウェルカムの空気にサッと変わった。予定通りだ」としています。漫才中に冷静な判断ができていたことが伺えます。
漫才が終わってMCの今田さんのもとに行った時、伊達さんは満面の笑みで「緊張しました」と。
しかし富澤さんは、「マナカナさんのブログで、予想が書いてあったんですけど、ぼくらの名前が一切書いてなかったんですけど…」と。さらに、「ざまぁ見ろと思っています」と畳みかけて笑わせていました。結構落ち着いていたのかも…。
そして審査結果。中田カウスさん92点、大竹まことさん84点、オール巨人さん92点、ラサール石井さん95点、上沼恵美子さん95点、松本人志さん95点、島田紳助さん98点。合計は「651点、現在第1位です」、右手を突き上げた富澤さん。
MC今田さんから「いまだに敗者復活から優勝したコンビはいないですからね」とふられると、「ただ、ネタがないです」と伊達さん。今田さんから「あるやろ?」って言われても「今から考えます」とか…。わたしには落ち着いて見えたですけどね。
2本目!最終決戦!
「ネタがない」とか言ってましたが、実は、「ピザ屋のデリバリー」で決まってはいたようです。しかし、ここでサンドイッチマン伊達さんと富澤さんの意見が分かれてしまいます。

出典:https://ikaho.at.webry.info/201207/article_7.html
それは、3組で行う最終決戦でのネタ見せの順番。伊達さんは勢いがあるからと1番目を主張。富澤さんは、キングコングとトータルテンボスのネタは、スピードとパワーがある。しかし、「デリバリー」は「聞かせる」タイプのネタなので最後の3番を主張。
それはオンエアされているステージの上でも、富澤さんの表情から揉めているのがわかるくらい。でも、伊達さんは「練習したいんで3番で」と自分の意見をまげて富澤さんの意見通りとしていました。
そして2本目。またもや、富澤さんの「名前だけでも覚えて帰ってください」で、軽く笑いが起きます。そして「道迷っちゃって」「道一本だろう」「いや、行くかどうかで」「そこ迷うな」のくだりでどっとウケます。
そして、「もういいわ。どうもありがとうございました」で終了します。これは、行けたかと見てるわたしは思いました。でも、トップバッターのトータルテンボスも2組目のキングコングも面白かった。どうなるのだろうと審査を見守りました。
ネタが飛んだ?!
と、無事に終わったかに見えたサンドイッチマンの「ピザ屋のデリバリー」ですが、実は、途中でネタが飛んでいたというのです。

出典:https://moriawase.net/m1-grand-prix-free
正直、わたしには全くわかりませんでしたが、伊達さんが「腹たつなぁ、お前。……ムカつくなぁ」と、ツッコミを2回繰り返したばめんがあったのだとか…。2回目の「ムカつくなぁ」は台本にないものなんだそうです。
で、調べてみると、最後のところで「責任者出せ、責任者」という前のところでした。わたしには飛んだとは思えませんでしたが、言われてみると少しテンポがそこだけ遅くなっている感じがしました。
富澤さんによると伊達さんが突然ネタを思い出し「ふざけてんだろ、お前。責任者出せ、責任者」とやってくれたんだそうです。富澤さんは、この瞬間はコンマ1秒あるかないかだくらいだと言ってるようです。
この辺のネタが飛んだ話とかは、サンドイッチマンの著書で幻冬舎文庫の『復活力』に、さらに具体的に書かれています。
M‐1優勝!伸介松本のサンドイッチマンの評価は?
こうして、絶体絶命の危機を乗り越えたサンドイッチマンの評価はどうだったのでしょう?
ファイナル決勝の審査結果が発表されることになったわけですが、ここで、テレビならではの演出。MCの今田さんが「7代目チャンピオンはいったい誰なのか?」と言った後、アシスタントの小池栄子さんが、「それは、CMの後です」。
溜めに溜めてのこのセリフだったので会場からも「ェ~~ッ!」という大きな声が出ていましたし、トータルテンボスは吉本芸人らしくずっこけていました。
そして採取審査結果は、
- 中田カウス審査員:トータルテンボス
- 大竹まこと審査員:キングコング
- オール巨人審査員:サンドイッチマン
- ラサール石井審査員:トータルテンボス
- 上沼恵美子審査員:サンドイッチマン
- 松本人志審査員:サンドイッチマン
- 島田紳助審査員:サンドイッチマン

出典:https://garakuta-clip.com/kin-suma-sandwichman/
そして、2007年、7代目チャンピオンはサンドイッチマンに決定した瞬間でした。この時の2人の表情は、伊達さんは感無量と言った感じでかなり真顔でした。富澤さんはにこやかにしていましたね。

出典:https://pleasantway.ko-co.jp/e16553.html
そして、サンドイッチマンの審査員の評価ですが、最初の1本目が終わった際のコメントで、オール巨人さんが「僕の中で完璧に近い」「何で決勝のこの舞台に敗者復活じゃないし残ってないのか不思議なくらい」「もう一本こんなネタあったらエライことになる」と絶賛。
島田紳助さんは、「トータルテンボスとキングコングと彼ら(サンドウィッチマン)が技術的に漫才師としてめっちゃ上手い、ただその3組の中で一番面白かったから点数プラスした」「もう一本あったら絶対優勝やけど、絶対無いと思うわ」とコメント。
さらに最終決戦では、富澤さんはオール巨人さんの1票で「よかった、ゼロ票じゃなくて」と思ったほどだったそうです。それが4票。そして優勝。素晴らしい結果でした。
しかし、わたしが痺れたのは島田紳助さんが最後に優勝したサンドイッチマンにトロフィーを渡して話した言葉でした。「はい、おめでとう。素晴らしかった」これはサンドイッチマンの2人にとってとても嬉しい言葉だったのではないでしょうか。
サンドイッチマンについて

出典:https://talent.thetv.jp/person/1000047269/
- 名前:伊達みきお(だてみきお)
- 名前:富澤たけし(とみざわたけし)
仙台商業高等学校の同級生として、ラグビー部で知り合い、卒業後、伊達さんは福祉系の専門学校へ進学するも中退。父親の斡旋で福祉関連の会社に就職し、サラリーマンとして生活していくつもりだったそうです。
芸人になりたかった富澤さんは、就職しすると芸人を目指しにくくなるという理由で、アルバイトを続け、仙台吉本への所属を目標に定め、伊達さんを誘うも断られ、小・中学生時代からの友人の別の相方と「ゆやゆよん」というコンビを結成。アマチュア活動をしていました。
伊達さんとのコンビを熱望していた富澤さんは、サラリマンになっていた伊達さんを、3年間にわたり口説き、「限りある人生、好きな事をやらないと」と、会社を辞め、1998年9月、ついにコンビ結成し上京しています。