毎年、冬の時期に流行するインフルエンザ。「あれ?おかしい、インフルエンザかも?」と思っても夜だったり、土日だったり、忙しかったりで病院にいけないまま発症してしまうということもありますよね。
そもそも、インフルエンザは病院にいかなければ治らないのでしょうか。今回は、薬なしでインフルエンザを治すことはできるのか?また、薬なしで治るのに何日かかるのか?などインフルエンザの気になる情報をご紹介します。
インフルエンザでは高熱も特徴的な症状のひとつですが、解熱については普段の風邪とは違い注意しなければならない点もあります。また、子供のインフルエンザで特に注意すべき点についてもお伝えします。
インフルエンザは薬なしで治るか?
インフルエンザは「インフルエンザウイルス」に感染することによって発症する病気です。風邪と似てはいますが、風邪よりもウイルスのパワーが強く急激な発症や高熱を出しやすいのが特徴的です。なので、慌てて病院に駆け込むケースが多いのですが、一方で、病院にかからずできれば薬なしで治したい!と思う人も多いのでは。
「インフルエンザは薬なしで治るか?」としていますが、結論を言いますとほとんどの場合、薬なしで治ります。実はインフルエンザを治すのは自然治癒しかありません。
インフルエンザの感染から治癒までの経過
一般的にインフルエンザウイルスに感染した場合
- 約1~3日の潜伏期間の後、インフルエンザを発症
- 発症後は、約1~3日程度の期間で、突然の高熱(38℃以上)や、全身倦怠感、食欲不振などの「全身症状」が強く現れる
- その後、咳や喉の痛み、鼻水などの「呼吸器症状」が現れ、なかには腰痛や吐き気、下痢などの「消化器症状」が現れることもある
最終的に、10日前後で症状が落ち着き治癒するのが一般的なインフルエンザの症状の経過の流れです。
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「抗インフルエンザウイルス薬」の役割とは?
通常、インフルエンザへの感染が確認された場合、体内にいるインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ「抗インフルエンザウイルス薬」の服用が有効です。

出典:https://kodaira.life/knowledge/influenza.php
オセルタミビルリン酸塩(タミフル)
「タミフル」という商品名でお馴染みです。A型・B型両方のインフルエンザウイルスの増殖を防ぐ効果があります。カプセル剤、小児では散剤による経口投与が一般的です。
症状が出始めたら48時間以内に服用するのが効果的です。逆に言うと、症状が出てから48時間を超えた患者が服用しても効果がほとんどありません。48時間を超えた患者に無駄な処方がされないよう注意が必要になります。
ザナミビル水和物(リレンザ)
A型・B型インフルエンザに効果があります。
リレンザは吸入薬で、専用の吸入器を使って1日2回・5日間にわたって吸入します。インフルエンザウイルスは呼吸とともに吸い込まれ、気道で増殖するため、粉薬を直接気道に届けることで即座にウイルスの増殖を抑えることができます。
症状を早く緩和するために、最初の1回はできるだけ早く吸入することが大切です。
ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(イナビル)
「イナビル」という商品名で処方されます。A型・B型インフルエンザの治療に効果があり、リレンザと同じ吸入薬です。
イナビルの最大の特徴は、1回吸入するだけで治療を完結させる点にあります。10歳以上は2容器2つを、10歳未満は1容器を吸入するだけで、継続した治療は必要ありません。ただし、1回の治療でしっかりと薬を吸入する必要があるので、病院で医師や看護師の指導を受けながら吸入するのが安心です。特に小さなお子さんの場合、保護者の方も注意して見てあげてください。
ペラミビル(ラピアクタ)
日本では「ラピアクタ」という商品名です。点滴注射薬のため、カプセルを飲んだり粉薬を吸入したりするのが困難な患者さんにも投与することができます。
タミフル同様、発症から48時間以内に服用した場合の有効性が確認されています。
抗インフルエンザ薬は治療薬ではない
出典:https://saito-jibika.com/influenza.html
通常、体内に入ったインフルエンザウイルスは、猛烈な勢いで増え続け、症状が出てから2~3日後(48~72時間後)に最も数が増え活発に活動します。
インフルエンザに有効な「抗インフルエンザウイルス薬」は、インフルエンザウイルスの増殖を防ぐものであり、インフルエンザウイルスを死滅させたり、治すことはできません。
インフルエンザウイルスを撃退する唯一の方法は、人間の身体にもとから備わっている「免疫力」なのです。
インフルエンザ 薬なしで治すときの期間は?
インフルエンザを発症し、病院で「抗インフルエンザウイルス薬」をもらい服用することで一般的に1~2日程度治癒期間が短縮されると言われています。
自然治癒の場合は、個人差があるため一概には言えませんが、増殖を抑える薬を服用しないということですから、発熱期間やその後の経過も長引きやすいのが特徴です。
インフルエンザの特徴でもある、「高熱」を出す期間(約1~3日程度)を過ぎた後も、微熱状態が続いたり、体内でのインフルエンザウイルスの活動がなかなか終息できないために、体内での免疫機能も活発な状態が続きやすくなります。
通常であれば約10日前後で終息しますが、人によっては10日以上かかるケースも見られます。
インフルエンザに解熱剤の使用は要注意!
基本的に、発熱しているときは、体がウィルスを退治しているサインです。
- 体は体温が高い方が抵抗力が高まる
- 無理に熱を下げてしまうと体の抵抗力を低下させる
- 結果長期化してしまう可能性もある
熱があるからと言って解熱剤を多用するのは良くないとされています。
ただし、高熱が続くなど、「眠れない」「休めない」など、高熱により体がダメージを追ってしまい、体力が奪われてしまうような場合は、解熱剤を服用して熱を下げることも必要になってきます。
インフルエンザの場合、解熱剤の種類によっては、けいれんや意識障害などを発症する「インフルエンザ脳症」や「インフルエンザ脳炎」、脳や肝機能に障害を来たす「ライ症候群」など重病を招くことがあり、後遺症が残ったり、最悪の場合は死に至ってしまったケースもあります。
高熱が続いて解熱剤が使用したい!というケースでは、インフルエンザの場合は、自己判断で市販薬の服用も難しい側面があるため、医療機関を受診して適切な薬を処方してもらうことが安全でもあります。
子供のインフルエンザで注意すべき点とは

出典:https://saito-jibika.com/influenza.html
日ごろ体力のある大人や、日ごろは健康な大人であれば、薬なしで自然治癒で治すという選択肢もあるかもしれませんが、子どものインフルエンザではすみやかに医療機関を受診することをおすすめします。
急な高熱
- インフルエンザの特徴は時間帯を問わずにいきなり高熱になる
- 熱は38度~40度近くになることもある
- 今まで元気に遊んでいたのに、急にぐったりすることもある
こういった症状が見られたら、すみやかに医療機関を受診しましょう。
こわい子供のインフルエンザの合併症
- インフルエンザ脳炎・脳症
- 熱性けいれん
- 気管支炎
- 中耳炎
- 心筋炎 など
この中でも特に注意したいのが、インフルエンザ脳炎・脳症。発熱後にけいれんや意識障害を起こします。意識障害は、意識が無くなる昏睡状態になる場合や、意味不明の言動、奇声を上げる、暴れまわるなど、こちらもパニックになるほどの症状がでます。
インフルエンザの発症(発熱)から、数時間から1日以内に症状が見られ、年間100人~300人発症している、そのほとんどが幼児と言われています。幼い子供のインフルエンザには特に注意が必要です。
抗インフルエンザ薬で未成年者に異常行動が起こる?
以前、タミフルが異常行動を起こすとして話題になったことがありましたが、厚生労働省医薬品等安全対策調査会は「タミフル服用の有無にかかわらず、異常行動はインフルエンザ自体に伴い発現する場合がある」と結論づけています。
インフルエンザ自体に伴って異常行動が発現する場合があるという点からいえば、
- 特に小さなお子さんなどの場合は事故を防ぐため、発症から2日間は患者さんが1人にならないように配慮する
- 小さなお子さんの場合、できれば熱が下がるまで保護者の方がそばでついている
という配慮が必要になります。
まとめ
インフルエンザは薬なしで治るか?と言われれば、一般的には薬なしでも自然治癒する病気です。
- 抗インフルエンザ薬は治療薬ではなく、インフルエンザウイルスの増殖を防ぐもの
- インフルエンザウイルスを死滅させたり、治すことはできない
- 「抗インフルエンザウイルス薬」を服用することで一般的に1~2日程度治癒期間が短縮するといわれている
- 自然治癒の場合、通常、約10日前後で終息するが、人によっては10日以上かかる
日ごろ健康な大人や体力のある人は自然治癒も選択肢のひとつですが、子供の場合はすみやかに医療機関を受診するのが安心です。
また、子供については、2012年4月の学校保健安全法施行規則の一部改正に伴い、インフルエンザにかかった際の子供の出席停止期間の基準が下記のように変更されました。
発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過した後。幼児においては、発症した後5日を経過し、かつ解熱した後3日を経過した後。
出典:日本小児科学会 予防接種・感染症対策委員会 2017年4月改訂版抜粋
医師に出席停止の診断・指示を受けた日から、傷病証明書に医師が記入した登校許可日までの日数は通常の欠席(病気、けが、事故、私用など)とは区別され、「出席停止」として学級閉鎖や忌引と同じ区分に記録されます。そういった意味でも医療機関の受診が安心です。
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